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特集 名門の工房 大倉陶園 第3話
名門の工房 大倉陶園 日本を代表する陶磁器の魅力に迫る伝統の技を受け継ぎ美術品級の美しさを誇る大倉陶園を訪ねて
第1話 「良きが上にも良きものを」創業者精神に貫かれた名門ブランドの歴史
第2話 美術品に、日常に映える器に息づく陶磁器製造の大倉スピリッツに迫る
第3話 美術品の陶磁器が生まれるまで
第4話 日本が誇る高級陶磁器の数々
大倉陶園の陶磁器が完成するまでの工程をご紹介します。

「大倉ホワイト」と呼ばれる白さの秘密のひとつは原料にあり。

■原料
大倉陶園で使う原料はカオリン・珪石(ケイセキ)・長石(チョウセキ)の3種類のみ使用します。白さに不可欠なカオリンは、粉砕前なのにもかかわらず、触るとポロポロと崩れ、はたいても指紋の間に入ってなかなか落ちないほど、しっとりとしたきめの細かさにびっくり。
-粉砕・脱鉄・調合
原料に水、さらに原料を細かい粉末にするために小石を加えて約10時間ミルで回して粉砕します。その後、脱鉄(※)も2回行うことで不純物のない良質な粘土になるのです。全ての製品は3種類の原料(カオリン・珪石・長石)で調合した、素地・釉薬を使います。この原料の調合技術に関しては、大倉陶園内でも一部の人しか知らされていない「門外不出の技」となっています。
※脱鉄 陶磁器原料に含有される鉄を取り除く事、残留していると色ぼつなどの原因になる。
-素地
そもそも白の元カオリンは、上質紙やおしろいなどにも使われる高価な原料。大倉陶園では、素地にそのカオリンを贅沢に使用しています。


商品の元を作る成形作業

■成形
成形には、「ロクロ成形」と「流し込み成形」の2種類があります。ロクロと聞くと回しながらこねた粘土を手で形作っていくイメージがありましたが、機械で圧縮しながらあっという間にお皿の形になる機械は初めて見ましたし、その機能のアイデアに感動しました。
-ロクロ成形
脱水の済んだ原料を真空土練機で練り、押し出した練土を石膏型に載せロクロ成形機にかけて形を作る。お皿のような形状のものはこの方法で成形します。

制作写真 制作写真

スライスされた素地がのせられる台

スライスした練土を型の上に置き、上からコテを押さえつけることによりお皿が成形されていく。

-流し込み成形
脱水の済んだ原料を再度水に溶かし、石膏型に流し込んで形を作ります。花瓶や複雑な形のものは流し込みで成形します。

制作写真 制作写真

水に溶かした素地を型に流し込んで成形したカップのハンドル

脱型した素地(カップのハンドル部分)の余分な箇所を削り取ると同時に接着面にあったカーブに切り上げる。


■加工
-エンボス
形作った直後の柔らかい素地にローラーを使い手作業で施します。高度な熟練を要し、今では大倉陶園だけが保持する貴重な技法です。

制作写真

エンボス用のローラーと模様が描かれたカップ。


■仕上げ
素焼き前に、カップの取っ手などの接着した部分の確認や磨きをかけるなど、入念に検査をします。

■素焼き
若干の水分(3%)は残っています。成形素地を880度のローラーハースキルン(※)で約3時間かけて素焼きします。
※ローラーで搬送しながら焼く焼成炉

制作写真

ここを移動させながら素焼きをする。


釉薬もひとつひとつ手作業で

■施釉
素焼きが終った素地は釉薬をかけます。釉薬をかける事を施釉と言いますが、大倉陶園では基本的にひとつひとつ手作業で施釉を行います。その施釉技術は、まさに長年の経験から生まれる職人技ですね。機械でもキレイにかかります。量産体制の問題です。

制作写真

ひとつひとつ丁寧に施釉

■施釉する前に
大倉陶園の伝統の技の中には、施釉前に施されるものもあります。

-エンボスのマスキング
模様をつけた部分はそこだけマスキングをして釉薬が付かないようにします。その後細部をより綺麗に仕上げていきます。

-呉須(ごす)
素焼きの素地に直接、絵付けをする技法。作業を見学 させていただきましたが、見ている私が緊張しました。

カップ写真

エンボスの部分にマスキングして 施釉したカップ

制作風景

素焼き生地に直接絵付けをするので、 失敗が許されない高度な熟練技


世界一高温焼成。「大倉ホワイト」の白さのもうひとつの秘密

■大倉陶園の本焼き
最高温度が1460度という高温の本焼きは、世界随一です。他社は一般的に1400度前後位で焼成を行なっています。 “大倉ホワイト”は、高価なカオリンを特殊な調合で使った上に、この高温で焼き上げる技術によって生まれました。本焼きに有する時間はなんと48時間! 約30メートルという長いトンネルキルンの中を24時間かけて、移動しながらじっくり温度を上げて焼かれ、今度は24時間かけてゆっくり温度を下げて、本焼きが完了します。トンネルキルンの中央あたりが最高温度1460度で、その横を通るだけでもちょっと恐い気持になりました。この焼成炉はおよそ1年中24時間ずっと火を入れっぱなしで稼動しています。

トンネルキルン入口 写真 トンネルキルン出口 写真

トンネルキルン入口
施釉の済んだ商品は、炎やガスの悪影響を防いだり異物付着の防止の為、炭化ケイ素質のサヤと呼ばれるケースに入れられて焼成炉へ

 

トンネルキルン出口
48時間かけて焼成する
高温の窯。


大倉陶園が誇る、伝統の装飾技法

■大倉陶園だけの技術
本焼きが終った商品は、入念な検査の後、研磨され、装飾にはいります。中でも、世界で唯一といわれる大倉陶園の装飾技術には、岡染(おかぞめ)漆蒔(うるしまき)エンボスが挙げられます。
-岡染
本焼き・検査の終ったものに、コバルト絵具で絵付けをし、もう一度本焼きにかけるという大倉陶園独自の技法です。世界一といわれる高温で1度ならず2度も本焼きするという極めて高度な技術。普通なら生地がもたずに変形してしまうといいます。その模様が釉薬に溶け込んだブルーの美しさは、吸い込まれそうなほどです。
-漆蒔
白生地の上に漆をぬり、その上に上絵具の粉を漆層に手作業で馴染ませていく、大倉陶園だけの秘伝の技法です。この装飾を担当している方達は、ガラス張りの密室の中でマスクを着けて作業されていました。
-エンボス
手作業によって模様を付け、そこに金または白金で加飾するという大変に繊細で複雑な技法。遠い昔はヨーロッパの技術でしたが、今では大倉陶園以外ではほとんど行なわれていない技術となっています。

制作風景

漆蒔・漆に上絵具を馴染ませる
漆層に上絵具の粉を綿で軽く擦って均等に馴染ませる


■大倉の伝統の技術
大倉陶園の伝統の装飾技術は、常に最高の完成度を求めています。例えば、通常は分業で行われる描き絵は、1人の絵師がひとつの作品を最初から最後まで描ききることで、繊細で優美な美術品ともいえる作品に仕上がるのです。すべての描き絵は十数人の選りすぐりの絵師でおこなっているため、完成までに時間がかかるのが、作品に対するこだわりであり、唯一の欠点でもあるといいます。
-描き絵(ハンドペイント)
本焼き・検査・研摩の終ったものに、絵師によって、ひとつずつ手描きで絵付けをします。
-瑠璃(るり)
本焼き・検査の終ったものに、転写や漆蒔(※別ウィンドウ)の技術を応用してコバルト質絵具をむらなく付け、もう一度本焼きします。
-呉須(ごす)
素焼きした成形素地に直接絵付けをする、高度な技術の装飾です。
-金蝕(きんしょく)
本焼き・検査・研摩の終ったものに、模様をマスキングし、サンドブラストをかけてから金を施す事で、光沢の違いで模様が浮き出ます。
-転写
模様が印刷された転写シートを貼って焼き付ける一般的な技法ですが、その模様は大倉陶園ならではの絵柄であり、転写も他社に比べてより細かくきれいです。

絵付け風景 完成品 写真

描き絵
技能検定を取得した絵師による手描きの絵付け

 

描き絵完成品
その完成品は、ひとつひとつが、まさに芸術品

制作風景 制作風景

転写
ひとつひとつ丁寧に転写シートを貼っていく

 

手作業の装飾
岡染したソーサーの金の縁どりも手作業で付けていく


最後の工程・絵付け焼成にも徹底的にこだわる

絵付けをしたら、880度前後の絵付け用のローラーハースキルンで約2〜3時間ほど焼きつけていきます。ただ、絵付けの顔料や装飾によって焼き付け温度は微妙に違うので、顔料や装飾に合わせて温度を変え、その都度焼き付ける必要があるそうです。つまり、複雑な装飾になればなるほど、焼付け温度の高い顔料から順に、加飾しては焼き、加飾しては焼くといった具合に、何度も焼成炉に入れる必要があるのでとても手間と時間もかかるのです。 そうしてでき上がった製品は、さらに最後に厳しく検査をされ、やっと世の中に出て行くことができるのです。全ての製品は、本焼きで必ず最低2日かかる事を考えると、本焼きに2度かける岡染瑠璃、何度も絵付け焼成される凝ったデザインなど…それらは、何日間にも及ぶ作業を経てやっと完成に至るわけです。ひとつの製品にそれほどの時間がかかっているとは想像していませんでしたし、カップ&ソーサーのような出荷量の多い製品でも、ほとんど工程は手作業でおこなわれていたことにとても驚きました。広い工場内は機械音もなく静かで、工場と言うより工房といった趣が感じられました。


大倉陶園謹製の当社オリジナル商品は



 
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