日本が世界に誇る高級陶磁器。ご家庭にあっても、なかなか日常的には使いにくいものです。でも、飾っておくのもいいですが、使ってこその食器でもあります。どのように扱えばいいのでしょう。大倉陶園の歴史やスピリッツについてお話をいただいた、前田氏はこうおっしゃいます。「高級な陶磁器は、手洗いが基本ですね。使う側にも丁寧に扱っていただきたい。でも陶磁器は割れるからいいんです。それが焼物の良さだと思います。だから大切にしようと思う、それがいい。」 確かに、プラスチックのお皿や割れてもいいような安物ばかりを使っていたら、物を大切にする気持が薄れていってしまう。大倉陶園では、破損したら補充や金修理などの相談も受けています。前田氏は、前述のインタビューの中で、手作業で作る漆蒔は「絵の具のロットや湿度、作る人によっても多少の違いが出てきます」と話されていましたが、「例えば、漆蒔きのカップが壊れたら、ソーサーも持って来ていただき、その色と出来るだけ同じ色になるように作ります」とおしゃっています。それだけの愛情をもって丁寧に作られた製品だと思うだけでも、大切に使う気持ちになりますし、もし破損してしまっても、きちんと補充したり修理に出して、また同じように使い続けようと思うはずです。そういう本物の逸品は、作り手と使う人を思いやりの気持ちで繋き、心も豊かにしてくれます。 |