宮内庁や外務省などからの注文に加え、さらには昭和12年のパリ万国博覧会に出品したパンチボールが名誉大賞を受賞して、欧米からも注目され出した大倉陶園。直後に始まった戦争で空襲に遭い、工場が全壊してしまうという被害を受けました。そんな苦難をも乗り越えて、昭和34年には、現皇后様のご成婚時のご調度品をお納めし、この時のご所望によって大倉陶園でおしるしの「白樺」をデザインした品は、美智子妃殿下に末永くご使用になられるものとなりました。その後は、迎賓館(赤坂離宮/昭和49年、京都迎賓館/平成17年)のご用食器や現天皇御夫妻の海外ご訪問に際してのご贈答品などに加え、昭和50年代に入ると、企業、ホテルやレストランからの依頼で再びオートクチュールの製作も盛んになりました。
長い歴史のなかで、工場設備の充実・合理化は進みましたが、現在まで大倉陶園のもの作り精神はそのまま受け継がれ、その卓越した技術と完成度の高さは、広く評価され続けています。昨年も紀宮様御成婚の引き出物「ボンボニエール」の製作を賜るなど、皇室の歩みのなかで節目節目に大倉陶園の製品が華を添えています。 |