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特集 スペシャルインタビュー 奥山峰石 第三話
スペシャルインタビュー第一回 人間国宝 奥山峰石 生命を宿す「鍛金」の力 感動を器に表現する人間国宝・奥山峰石 第一話 「鍛金との出会い編」
第一話 「鍛金との出会い編」 第二話 「作家への道編」 第三話 「創作編」
人間国宝、奥山峰石氏のインタビュー最終回は、
イメージ写真 制作中の奥山氏

作品が次々と賞を受賞する中、奥山氏の作風のテーマは、次第に自然界のモチーフへと変化します。 「次に何を創ろうか。行き詰まりを感じたある日、ふと目にした杉の木の林、渡り鳥。その瞬間、作品のイメージがふっとわき上がるのがわかりました」

故郷・山形の小学校にあったポプラの木を思いながら作り上げた作品は、今、伊勢神宮に所蔵されています。 同じく、桜の木の作品は、北区に寄与。樹木や花の鍛金作品が、のきなみ賞を受賞。

繊細な自然の息吹を銅版の上に蘇らせる熟練の技

鍛金の技法に「象嵌(ぞうがん)」があります。 金属の上に、別の素材を打ち込み、模様を描いていくことを『打ち込み象嵌』と言い、描いた模様を切り抜いて、そこを他の素材で埋め込み、模様をはめ込むのを『切り嵌象嵌(きりばめぞうがん)』と言います。 奥山氏は、この2つの技法を巧みに使い分け、独特の手法で作品を仕上げています。

独特の手法で作品を仕上げている奥山氏 写真

「『切り嵌象嵌』の手法ですが、まず私の作品の場合、花や木の写真を撮ってそれを見ながらスケッチをし、下絵を完成させます。そして、それを紙の型に起して赤銅に映し、糸のこぎりで切り抜いて、紋様をつくります。ボディにその紋様と同じ穴をあけて、紋様をはめ、接合して仕上げます。植物など、面積の大きな紋様を表現するときに、この手法を用います。いっぽうで、切り抜いた紋様を上にはり付け、たたいてめり込ませるのが『打ち込み象嵌』。木の枝など、細かい表現に適しています」。
いずれも実に緻密な作業。
繊細な枝や花の型が、銅板の上に再現され、再び、器の上で力強く芽吹いていくようです。

「今、『三春の滝桜』の制作に取りかかっています。何とか、年内には仕上げたい」。
『三春の滝桜』とは、樹齢500年とも1000年とも言われている日本三大桜のひとつ。福島県三春町の滝桜を言います。優美に枝が垂れ下がり、まるで滝のような美しさ。国の天然記念物に指定されています。

三春の滝桜 写真

ひらめきと手の記憶が創作の源
草花等の写真

「最近は、よく花を描きます。
作品創りとはおもしろいもので、ひとつを完成させないと、次に創るもののイメージがわいてこない。続けることなんですよ。また、頭の中のイメージで、こうしよう、と思っても、実際に創ってみると、なかなか思うようにいかないことが多い。
失敗が許されない慎重さと緻密さが要求され、それを経て、ひとつのものを完成させる。すべては“経験する”ことから、新しいものが生まれてくるんです」

あたりを散歩しながら写真を写す奥山氏。植物や自然界に、常に目を凝らしながら、よく観察することが大切とおっしゃいます。
「器の形から入る時もあれば、そこに施す模様から作業に入る時もあります。その時その時のアイデアで、作業工程はいろいろですが、ひとつの作品を完成させるまでには、最低でも3ヵ月はかかります。
まずは気に入った模様を、どうすれば作品に生かすことができるか。あれこれ考える時間が、意外と長いんです」。


10日間、ひたすらたたき続ける 鍛金は膨大な時間との戦いから生まれる

アトリエには、30年使っていらっしゃるという「当て金」「当て床」、そして無数の金づちややすりなど、イメージを具現化するための道具たちがところ狭しと並んでいます。
作品によっては、1日6時間、10日間もずっとたたき続け、最後の「ならし」で、さらにその3倍もの時間をかけてたたき、やっと仕上げの段階に入るものも少なくありません。
「仕上がりをイメージしながらたたいていると、自然に手が動く。頭で考えても、うまくいきません。
鍛金は、体で覚える以外にない」と奥山氏。


奥山氏の作品 写真
努力と鍛錬を繰り返すことで磨かれる技 「不器用な手」が与えてくれた幸せ

「人間国宝という名に恥じない作品を創らなければならない、という思いはあるものの、大切なことは、今まで通りに作品に愛情を込めてつくればいい、といいことに気付きました。落選した作品も、なかなかいいじゃないか、と思い、よく昔のことを振り返るようにもなりました」。

奥山氏の作品 写真

近くの西ヶ原小学校で「伝統工芸に触れる」を目的とした授業の講師として、子供達に鍛金を教えていらっしゃいます。 数十回たたいただけで手が痛くなった子どもは、「奥山先生は作品を創り上げるまでに、数千回とたたいているなんて、すごい」と感動したそうです。そんな子どもに、奥山氏は言いました。 「不器用だからこそ、今の私があるんです。不器用だからこそ、必死で努力して、こんな作品を創りたい、とか、こういう形にしたい、と悩んで、悩み抜いて、作品を仕上げてきたんです。他の人より、少しだけ多く努力したことが、良かったのかも知れません」と。
継続は力なり。 結果ではなく過程にこそ、ものの真価があることを、子どもにも伝えていけたら素晴らしい、とおっしゃいます。


プロフィール

奥山 峰石(おくやま・ほうせき)
昭和12年 山形県新庄市生まれ
平成7年 重要無形文化財保持者認定
日本伝統工芸展鑑審査委員
現在、東京都北区名誉区民
山形県新庄市名誉市民

奥山 峰石氏による、当社オリジナル商品は
第一話 「鍛金との出会い編」 第二話 「作家への道編」 第三話 「創作編」


 
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